設計事務所・エンジニアが施主や元請に出す仕様書・見積:Word・Excel に残るものと、出す前の掃除
最終更新日:2026 年 10 月 26 日
要点:前の案件から写した仕様書は、その案件の施主名や所在地を、変更履歴・コメント・ヘッダーに持っていることがあります。マスターの仕様書には、編集する人への注記が隠し文字で入っていることがあります。報酬の見積や積算のブックは、金額の裏の原価と利益を非表示のシートに、社内の単価表へのリンクをそのフォルダーのパスと一緒に持つことがあります。プロパティには書いた人の個人名が入り、テンプレートの元の案件の名前が残ることもあります。施主や元請に出すファイルごとに写しを作って掃除し、出す前に写しを確かめます。
この記事は、設計事務所の設計者、構造・設備などのエンジニア、技術コンサルタントが、施主、元請、見積を出す会社に、仕様書、業務の範囲を書いた書類、設計報酬の見積、工事費の概算、金額を入れる明細を送るときのためのものです。扱うのは Word と Excel のファイルで、図面やモデルは Office のファイルではないので含めません。発注者の様式に記入して出す申請や入札、提出の形式の決まりは助成金の申請・入札の記事に、自分の顧問の弁護士や税理士に送るファイルは弁護士・税理士に送る前の記事にあります。下の例は典型的な場合で、実際の事例を伝えるものではありません。
仕様書や見積のファイルが運ぶもの
| もの | ある場所 | 事務所の外に出ると困る理由 |
|---|---|---|
| 前の案件の施主と敷地 | 変更履歴(削除した文字)、コメント、ヘッダーとフッター、タイトルのプロパティ | この施主に書いた書類に、別の施主の名前や所在地、案件の中身が入る |
| 編集する人への注記 | 隠し文字の書式を付けた文字、コメント(解決済みのものも) | 書き方の指示、採らなかった案、製品や会社についての一言 |
| 原価と利益 | 見積や積算のブックの非表示のシート、非表示の行や列 | 施主が見る金額の裏の工数、社内の単価、利益率、仕入れ先の価格 |
| 社内の単価表 | 見積から別のブックへのリンク | 事務所のファイルのパス(サーバー名、フォルダー名、ユーザー名が入ることがある)と、そのシートの名前 |
| 書いた人の名前 | 作成者と最終更新者、コメントと変更履歴に付く名前 | 事務所の名前で出すつもりの書類に、個人名やアカウント名が入る |
| ファイルの出どころ | テンプレートの名前、会社名、カスタム プロパティ | マスターを最初に作った案件や事務所、この案件ではない案件番号 |
前の案件から写した仕様書
仕様書を一から書くことはあまりありません。事務所のマスターか、似た案件の仕様書から始めて、案件の情報を入れ替えます。そのとき変更履歴がオンだったなら、前の施主、敷地、製品の名前は、削除した文字としてファイルに残っています。Microsoft のページ「Wordで追跡された変更を承諾または拒否する」は、「追跡された変更を削除するには、変更を受け入れるか拒否する必要があります。 [ マークアップなし] ビューを選択すると、変更が一時的に非表示になります。 次にドキュメントを開くと、再び表示されます。」と書いています。コメントも消すまで残ります。Microsoft のページ「Wordでのモダン コメントの使用」は、コンテキスト ビューでは「解決されたコメントは非表示になる」一方、リスト ビューには「アクティブなコメントと解決されたすべてのコメントが含まれます」と書いています。前の案件で確認した人の質問は、解決済みにしてあっても、この案件のファイルで読めます。
マスターによっては、編集する人への案内(この条項がある理由、どちらの案を選ぶか、何を消すか)が入っています。印刷されないよう隠し文字の書式にしてあるなら、その案内はファイルに残っています。Microsoft のドキュメント検査のページは、「Word 文書には、隠しテキストとして書式設定されたテキストを含めることができます。」と書き、このインスペクターでは「他の方法では非表示にされたテキスト (たとえば、白地に白いテキスト) を検出できません。」とも書いています。事務所の外に出す写しでは、案内を隠すのではなく削除します。
そのうえで、写しの中で前の案件の名前、施主、所在地、案件番号を検索し、ヘッダー、フッター、テキスト ボックス、表は自分で読みます。案件名は一度ヘッダーに入れたまま忘れられやすいからです。それでも残るものは、Word ですべて承諾したあとに残るものの記事にあります。
報酬の見積と積算:金額の裏の原価
設計報酬の見積や工事費の概算は、たいてい大きなブックのまとめです。社内の単価で数えた工数、協力事務所の見積、予備費、利益が裏にあります。施主に見せるのはまとめで、残りは送る前にシートや列ごと隠されることがよくあります。Microsoft のページ「ワークシートの表示と非表示を切り替える」は、「非表示のワークシート内のデータは表示されませんが、他のワークシートやブックから参照することはでき、必要に応じて非表示のワークシートを簡単に再表示できます。」と書いています。ドキュメント検査のページは、それを削除することについて、「データが入った非表示の行、列、またはワークシートを削除すると、ブック内の計算または数式の結果が変わることがあります。」と注意しています。
ですから、まとめがまだ原価のシートを読んでいるうちは、原価のシートをそのまま削除できません。金額を読むだけの施主には、まとめだけを入れた別のブックか PDF を渡します。まとめの範囲を新しい空のブックに写し、値として貼り付け([形式を選択して貼り付け]の[値])、合計を元のブックと突き合わせます。その範囲の中に手で隠した行や列があると一緒に写ってくることがあるので、新しいブックですべて再表示し、要らないものを削除します。施主や元請が数式の動くブックを受け取る必要があるなら、何を見せてよいかをシートごとに決めます。その考え方は助成金の申請・入札の記事にあります。原価のシートから作ったピボットテーブルは、たいてい行の写しを自分でも持っています(ピボットのキャッシュに残る元データの記事)。
社内の単価表へのリンク
事務所の単価や人件費の単価を一つのブックにまとめ、見積ごとに数式で読ませていることがあります。その数式はどれも別のブックへのリンクで、見積はそのブックの場所を持ちます。Microsoft のページ「ブックのリンクを管理する」は、リンク元を変える手順の中で、数式バーで探す別のブックへの参照の例として C:\Reports\[Budget.xlsx] を挙げています。ドキュメント検査のページは、外部リンクについて「そのデータを含むワークシートの名前はブックと共に保存されますが、表示されない場合があります。」と書いています。同じ「ブックのリンクを管理する」のページは、「ブック内のすべてのブックのリンクを自動的に検索する方法はありません。」とも書いています。
送る写しでは、[データ]→[クエリと接続]→[ブック リンク]を開き、リンクを解除します。同じページは、解除すると「そのリンク元ブックの値を使用する数式は、すべて現在の値に変換されます」と注意し、元に戻せないとも書いているので、金額を最新にしたいなら先に更新してから解除します。そのあと、同じページが一つずつ確かめる場所として挙げる数式、定義された名前、テキスト ボックスや図形、グラフのタイトルとデータ系列を見ます。名前は[数式]→[名前の管理]で、まだ単価表を指しているものがないかを見ます。パスからユーザー名などが分かる場合はExcel にフォルダーのパスが残る場所の記事にあります。
ファイルに入る名前
Microsoft のページ「ドキュメント、プレゼンテーション、またはブックの作成者名を変更する」は、Word は新しいドキュメントを作るたびに[ユーザー名]の設定から Author プロパティを入れ、PowerPoint と Excel も同様だと書き、「また、[ユーザー名] 設定には、コメントと変更履歴に表示される名前と頭文字が指定されます。」と書いています。ドキュメント検査のページは、ドキュメントのプロパティに「最後にドキュメントを保存したユーザーの名前」のような自動で管理される情報も含まれると書いています。若手が書き、上の人が赤を入れ、事務の人が保存した仕様書は、表紙には誰の名前もなくても、三人の名前を持つことがあります。
前の案件の仕様書を別名で保存して作ったファイルは新しいドキュメントではないので、作成者は最初に書いた人(もう事務所にいない人かもしれません)のままのことがあります。事務所の名前で書類を出すなら、写しの作成者を変え([ファイル]→[情報]で作成者名を右クリックし、[プロパティの編集])、それぞれ名前を持つコメントと変更履歴を消します。最終更新者は、最後に保存した人の名前で書き直されます。手順はWord の作成者名を消す記事にあります。
テンプレートと、その元の案件
事務所のマスターから始めた仕様書は、マスターが持っていたものを引き継ぎます。Word は文書の元になったテンプレートの名前を持ち、テンプレートのフルパス(フォルダー名を含む)を持つこともあります。ドキュメント検査のページは、Word 文書で見つけて削除できる項目に「テンプレート名」を挙げています。マスターのカスタム プロパティ([ファイル]→[情報]→[プロパティ]→[詳細プロパティ]の[ユーザー設定]タブ。Microsoft のページ「Office ファイルのプロパティを表示または変更する」では[カスタム])には、最初に作った案件の番号、案件名、状態が入っていることがあり、誰かが変えるまで残ります。ヘッダーや表紙がフィールドや[文書のプロパティ]のコンテンツ コントロールでプロパティを表示しているなら、この案件の値になっているかを見ます。テンプレートのフルパスの見つけ方は下の「写しを自分で確かめる」にあります。一つひとつはWord のプロパティに残る会社名とテンプレートの記事に、よその事務所から来たマスターは前職のテンプレートの記事にあります。
PDF で出すとき
仕様書や報酬の見積は PDF で出すことが多く、金額を入れる明細は元請が記入するのでブックのまま送ります。オプションを選んで書き出せば、PDF には上のものの多くが入りませんが、ページに見えている名前と金額はそのまま入ります。Microsoft のページ「Office デスクトップ アプリで PDF または XPS に保存または変換する」は、Word の手順で、「変更履歴を PDF に含めるには、[発行対象] の下で [変更とコメントの内容を含む文書] を選択します。」と書き(含めないときは[文書]を選びます)、「PDF に文書プロパティを含める場合は、[文書プロパティ] が選択されていることを確認します。」と書いています。Excel では、同じページのとおり[オプション]で「変更履歴を印刷するかどうかを選択し、出力オプションを選択します」。Office のファイルを先に掃除し、マークアップとプロパティを外して書き出し、閲覧ソフトで PDF のプロパティを開きます。詳しくはOffice から PDF に書き出すと残る作成者の記事と.docx と PDF の記事(英語)にあります。元請が金額を入れるブックはブックのまま送るので、その写しを掃除してから送ります。
事務所の外に出す前の手順
- 写しを作ります。作業用のファイルは事務所に残し、施主や元請に出すファイルごとに写しを作ります。
- 仕様書の写し。変更履歴をすべて承諾するか拒否し、変更履歴の記録をオフにします。解決済みのものも含めてコメントをすべて消します。読む人に見せないよう隠してあった案内を削除します。
- 前の案件を探します。前の案件の名前、施主、所在地、案件番号を検索し、ヘッダー、フッター、テキスト ボックスを読みます。
- 読むだけの見積。まとめを値として貼り付けた別のブックを作り、すべて再表示して、合計を確かめます。
- リンク。送るブックでは、社内の単価表へのリンクを解除し、[名前の管理]を見ます。
- プロパティ。[ファイル]→[情報]→[プロパティ]→[詳細プロパティ]で、作成者を事務所の出し方に合わせ、タイトル、サブタイトル、会社名、コメントを直すか消し、別の案件のカスタム プロパティを削除します。テンプレートの名前はここでは直せません。ドキュメント検査の[ドキュメントのプロパティと個人情報]で取り除きます(作成者などほかのプロパティも一緒に消えます)。
- ドキュメント検査。Windows なら、ドキュメント検査([ファイル]→[情報]→[問題のチェック]→[ドキュメントの検査])で、これらのいくつかを一度に見つけて削除できます。ただしドキュメント検査のページは、ほかのブックへのリンク(外部リンク)を、見つけても削除できない項目に挙げています。Microsoft は、ドキュメント検査で削除したデータは元に戻せないことがあるので、元のファイルのコピーで使うよう強く勧めています。[ドキュメントのプロパティと個人情報]を削除すると、上で直した作成者を含め、文書のプロパティも消えます。Mac での確かめ方は隠しデータの種類と確認方法の記事にあります。
- PDF。PDF で出すなら、マークアップと文書プロパティを外して書き出します。
写しを自分で確かめる
- 写しを開き、[ファイル]→[情報]で作成者と最終更新者を見て、[すべてのプロパティを表示]でテンプレートを、[詳細プロパティ]の[ユーザー設定]タブを見ます。
- もっと詳しく見るなら、もう一つ写しを作り、拡張子を .zip にして展開します。
docProps/core.xmlに作成者と最後に保存した人が、docProps/app.xmlに会社(Company)とテンプレートのファイル名が、docProps/custom.xmlにカスタム プロパティがあります。word/_rels/のsettings.xml.rels attachedTemplateの関係のTargetはテンプレートのフルパスで、サーバー名、案件のフォルダー名、ユーザー名が入ることがあります。- 仕様書では、ヘッダーとフッターも含めたすべての
word/*.xmlの部品で、変更履歴の印の<w:ins、<w:del、w:moveFrom、名前がPrChangeで終わる要素、w:tblGridChange、w:cellIns、w:cellDel、w:cellMergeを検索します。隠し文字の印のw:vanishも検索します(w:valが0、false、offのものは隠していません)。word/comments.xmlに<w:comment要素があればコメントが残っていて、word/people.xmlにはコメントを書いた人などが並ぶことがあります。 - ブックでは、
xl/workbook.xmlにすべてのシートが並び、非表示のシートにはstate="hidden"かstate="veryHidden"が付きます。xl/worksheets/sheet1.xmlなどのシートでは、<rowや<colに付いたhidden="1"が非表示の行や列の、<autoFilterがフィルターの印です。xl/externalLinks/のフォルダーがあればほかのブックへのリンクが、xl/pivotCache/があればピボットのキャッシュがまだ残っています。
- すべての部品で、前の案件の名前と単価表の名前を検索します。
ScrubDrop がすること
ScrubDrop は .docx・.xlsx・.pptx をブラウザーの中で読み、ファイルはアップロードしません。見つけたものを一覧にします。カスタム プロパティ・会社名・テンプレートの名前を含むプロパティ、書いた人の名前が付いたコメント、変更した人の名前が付いた変更履歴、隠し文字、非表示のシート・行・列、他のファイルへのリンク、定義された名前、ピボットテーブルとそのデータキャッシュと、そのほかの扱う種類です。無料版は 1 回に 1 ファイルで、プロパティとコメントを取り除き、変更履歴は承諾して取り除きます。変更履歴をオンにして消した前の施主の名前は消え、足した文字は残ります。ScrubDrop Pro では、変更履歴をすべて拒否すること(画面の表記は「元に戻す」)や、作成者ごとに承諾するか拒否するかを選ぶことができます。
ScrubDrop Pro では、非表示のシート・行・列・隠し文字、他のファイルへのリンク(付いているテンプレートのパスも含みます)、定義された名前、ピボットテーブルとそのデータキャッシュのような目立たない種類も取り除き、複数のファイルをまとめて掃除して ZIP で返します。ピボットテーブルを取り除くと、ピボットテーブルとキャッシュの部品は無くなり、シートには表に出ていた値が残ります。ピボットグラフ・スライサー・タイムラインや、ピボットテーブルを読む GETPIVOTDATA の数式があるブックは、理由を示して断ります。非表示のシート・行・列、定義された名前、他のファイルへのリンクを取り除くと、それを使っていた数式だけでなく、残るシートのすべての数式が最後に計算した値に置き換わります。数字の見た目は同じですが、もう計算はしません。施主が読むだけの報酬の見積には向きます。計算し続ける必要がある明細は、Excel で直し(助成金の申請・入札の記事)、ScrubDrop では「隠れたシート・行・列・スライド・図形・文字」「定義された名前」「他のファイルへのリンク」のチェックを外してください。隠し文字を取り除くことを選んだとき、スタイルで文字を隠している文書は推測で扱わず、その旨を示して断ります。非表示の行や列があり、条件の入ったフィルターか Excel のテーブルもあるシートは断ります。フィルターの条件やテーブルが、隠した行の中身を持つことがあるからです。フィルターを解除すると隠れていた行は消えずに表示されるので、読む人に見せない行は先に Excel で削除してください。白い文字や極端に小さい文字、印刷範囲の外のセルは、どちらの版でも一覧にするだけで取り除きません。プロパティを取り除くと、ヘッダーの案件番号のようにプロパティを表示しているフィールドはただの文字になり、分けられないものはその旨を示して断ります。掃除のあとでヘッダーを読んでください。ScrubDrop は、ある名前がどの施主のものかを知りません。前の案件の名前を探すのは、あなたの手順のままです。掃除したファイルは、書き出しに使ったものとは別の読み取りのソフトウェアで読み直し、確認を通らないファイルは渡しません。PDF と図面のファイルは読みません。
よくある質問
前の案件から写した仕様書で、施主に前の施主の名前が見えますか?
ファイルにまだ入っていれば見えます。変更履歴の削除した文字、コメント、ヘッダー、タイトルのプロパティのどこかです。Microsoft のページは、[マークアップなし]では変更が一時的に見えなくなるだけだと書いています。変更をすべて承諾するか拒否し、コメントを消し、写しの中で前の名前を検索してください。
報酬の見積を送る前に、原価のシートを隠せば足りますか?
足りません。非表示のシートはブックに残っていて、受け取った人は再表示できます(コードで隠したシートも、ファイルの中には残っています)。まとめだけを値として貼り付けた別のブックか PDF を送り、全部のブックは事務所に置いてください。
見積から、社内の単価表の場所が分かりますか?
分かることがあります。別のブックを読む数式はリンクで、見積はそのブックの場所を持ちます。Microsoft のドキュメント検査のページによれば、読んでいるシートの名前も保存されます。送る写しでリンクを解除し、[名前の管理]を見てください。
出典:このページからリンクした Microsoft のページは 2026 年 10 月 26 日に確認しました。ScrubDrop は Microsoft と提携していません。
仕様書や見積を、事務所の外に出す前に確かめてください。ブラウザーの中で動き、アップロードしません。無料版は 1 回に 1 ファイルで、ScrubDrop が扱う種類のうち見つけたものはすべて一覧にし、プロパティ・コメントを取り除き、変更履歴は承諾して取り除きます。ファイルを確認