助成金の申請書・入札・提案書を Word・Excel・PowerPoint で出す前に:消すもの、残すもの、提出の形式
最終更新日:2026 年 10 月 25 日
要点:申請書や提案書は前回のものを下敷きにして作ることが多いので、ファイルには、前の応募先や発注者の名前が変更履歴とコメントに、見積の内訳が予算のブックの非表示シートに、社内の呼び名がカスタム プロパティに、元にしたテンプレートの名前がプロパティに、残っていることがあります。まず公募要領や入札説明書で提出の形式を確かめます。PDF の指定なら、Office のファイルを掃除してから、文書のプロパティを外して書き出します。Office のファイルの指定なら、写しを掃除して出します。提出先の様式が求めるものは残し、出す写しを自分で確かめます。
この記事は、助成金・補助金の申請、入札、提案(提案依頼書への回答など)で、書類を出す側のためのものです。自分の顧客に送るファイルの確認は仕事の種類ごとのチェックリスト(英語)に、弁護士や税理士に送るときは弁護士・会計士・税理士に送る前の記事にまとめています。下の例は典型的な場合で、実際の事例を伝えるものではありません。
消すもの
| もの | ある場所 | 出す書類で困る理由 |
|---|---|---|
| 前の応募先・発注者の名前 | 変更履歴(削除された文字として)、コメント、タイトルのプロパティ、ヘッダー・フッター | ほかの相手のために書いた文の使い回しであることと、その相手が分かる |
| 見積の内訳 | 予算のブックの非表示シート、非表示の行・列 | 見せている予算は合計だけなのに、単価・利益率・仕入先の値段が入っている |
| 社内の呼び名 | カスタム プロパティ。[ファイルの概要]のタイトル・サブタイトル・キーワード・コメント | 案件のコード名、社内の案件番号、受注見込みの段階、顧客コード |
| ファイルの出どころ | テンプレート名、添付したテンプレートのパス、会社名、作成者 | 申請書づくりを頼んだ会社のテンプレート、共同提案の相手の会社名、同僚のユーザー名 |
| 社内の確認のメモ | コメント(解決済みのものも) | 「この単価で説明がつくか」のような書き込みと、書いた人の名前 |
前の応募先の名前
前の申請書を使い回すと、前の応募先や発注者の名前が残りやすくなります。[変更履歴の記録](Microsoft のページの表記では[変更の追跡])をオンにしたまま名前を書き換えたなら、前の名前は削除された文字としてファイルに残っています。Microsoft のページ「Wordで追跡された変更を承諾または拒否する」は、「追跡された変更を削除するには、変更を受け入れるか拒否する必要があります。 [ マークアップなし] ビューを選択すると、変更が一時的に非表示になります。」と書いています。コメントは、解決済みのものも含めて、消すまで残ります。承諾と元に戻すで本文がどう変わるかは変更履歴の承諾と却下の記事に、すべて承諾したあとに残るものは[すべての変更を承諾]のあとに残るものの記事にあります。
本文でも、前の応募先・発注者の名前とその略称を検索します。検索が文書のすべての部分に届くとは限らないので、ヘッダー・フッター・テキスト ボックスは自分の目でも読みます。
予算のブック:非表示シートと隠れたセル
シートを非表示にしても、データはファイルから出ていきません。ブックを受け取った人は、表示に戻せます。Microsoft のドキュメント検査のページは、Excel で見つけるものに非表示のワークシート、非表示の行と列を挙げ、「データが入った非表示の行、列、またはワークシートを削除すると、ブック内の計算または数式の結果が変わることがあります。」と注意しています。
予算のブックでは、ここがいちばんの問題です。見せている合計が、非表示の内訳を参照していることが多いからです。まず、内訳を提出先に見せるのかどうかを決めます。
- 提出先が内訳を求めているなら、シートを表示に戻して出します。
- 求めていないなら、写しを作り、その写しで、表示されているセルのうち非表示のシートを参照しているものを値に置き換えて(コピーして[形式を選択して貼り付け]の[値])から、シートを削除します。値にしたセルは計算しなくなります。合計が変わっていないことを確かめます。提出先の様式に最初からある非表示シート(ドロップダウン リストの選択肢など)は消さず、自分で足した内訳のシートだけを対象にします。ドロップダウン リスト、グラフ、条件付き書式、名前も非表示のシートを参照していることがあるので、削除したあと #REF! を検索し、ドロップダウン リストとグラフが動くかも確かめます。
- 提出先が求める数式そのものが内訳を参照しているなら、内訳なしでは計算が続きません。内訳を残すか、提出先にどうするかを問い合わせます。
シートを削除しても、そのデータの写しがすべて消えるわけではありません。内訳から作ったピボットテーブルは、キャッシュに行を持ち続けます(ピボットテーブルのキャッシュの記事)。そのシートを指していた名前は[数式]→[名前の管理]に残ることがあり、「仕入単価」のような名前は、それだけでシートに何があったかを語ります(名前の管理に残る社内の呼び名の記事)。削除したあと、どちらも確かめます。
コードで隠したシート(veryHidden)は[再表示]の一覧に出ません。非表示シートと定義名はExcel の個人情報を送る前に取り除く記事に、非表示シートでの情報の出方は非表示シートの記事にまとめています。
カスタム プロパティとそのほかの社内の呼び名
Microsoft のページ「Office ファイルのプロパティを表示または変更する」によると、カスタム プロパティは Microsoft 365 のドキュメントに自分で定義するプロパティで、「カスタム プロパティの値の種類には、テキスト、時刻、数値があり、"はい" または "いいえ" の値を割り当てることもできます。」プロパティのダイアログ ボックス([ファイル]→[情報]→[プロパティ]→[詳細プロパティ])の[カスタム]タブにあります。提案のチーム、文書管理のシステム、テンプレートが、案件のコード名、案件番号、段階をここに入れていることがあり、どれもページには出ません。同じダイアログ ボックスの[ファイルの概要]タブには、タイトル・サブタイトル・作成者・管理者・会社名・分類・キーワード・コメントがあります。一つずつの項目はWord のプロパティに残る会社名・管理者の記事にあります。
ファイルの出どころ:テンプレート
Word は、文書の元になったテンプレートの名前をプロパティに持っています。ドキュメント検査のページも、Word で見つけて削除するものに「テンプレート名」を挙げています。申請書づくりを頼んだ会社のテンプレート、共同提案の相手の前の提案書、前の勤め先の文書から始めた申請書は、その名前と、会社名・作成者を持ったままのことがあります。添付したテンプレートのパスはカスタム XML・埋め込みオブジェクト・テンプレートのパスの記事に、人からもらったファイルを使い回す前の掃除はテンプレートの販売元や前の勤め先のファイルの記事(英語)にまとめています。
残すもの
- 提出先の様式。提出先が配った Word の様式や予算のブックは、作りを変えずに使います。保護されたセル、ドロップダウン リスト、入力欄、組み込まれた数式は残し、記入だけをします。作り直しません。
- 提出先が見たい数式。予算が計算するブックで出すよう指定されているなら、数式を動くまま出します。求められていないシートを外せるのは、上のとおり、その数式がそのシートを参照していないときだけです。
- 公募要領や入札説明書が求めるもの。誓約、押印や署名、担当者の連絡先、添付の書類は、指定のとおり出します。
- 変更履歴は、求められたときだけ。質問への回答などで修正の箇所を示すよう求められたら、変更履歴を付けた版を別のファイルにして、その相手にだけ出します。
PDF か Office か:提出の形式
公募要領や入札説明書で、書類ごとの形式を確かめます。本文は PDF、予算は配られたブックのまま、のように書類ごとに分けて指定されることがよくあり、ファイル名まで決められていることもあります。指定のとおりにします。掃除したファイルでも、形式が違えば受け付けられないことがあります。
PDF の指定なら:提出先が受け取るのは PDF ですが、PDF にするだけで隠れた情報が消えるわけではありません。Microsoft のページ「Office デスクトップ アプリで PDF または XPS に保存または変換する」は、Word の手順の中で、「変更履歴を PDF に含めるには、[発行対象] の下で [変更とコメントの内容を含む文書] を選択します。」「PDF に文書プロパティを含める場合は、[文書プロパティ] が選択されていることを確認します。」と書いています。Excel と PowerPoint の手順は、[オプション]で印刷するページ、変更履歴を印刷するかどうか、出力のオプションを選ぶと書いていて、プロパティの項目の名前は挙げていません。どのアプリでも Office のファイルを先に掃除し、Word なら[発行対象]を[文書]にして[文書プロパティ]を外し、Excel と PowerPoint なら[オプション]で変更履歴を印刷しないようにし、プロパティを含める項目があれば外して書き出します。そのあと、PDF のプロパティを PDF の閲覧ソフトで見ます。詳しくはOffice から PDF に書き出すときの記事にあります。
Office のファイルの指定なら:この記事のものはすべてファイルと一緒に届きます。写しを掃除して出し、元のファイルは自分の記録として残します。
出す前の手順
- 作業中のファイルは手元に残し、出すファイルごとに写しを作って、写しを掃除します。
- 変更履歴をすべて承諾するか元に戻し、[変更履歴の記録]をオフにします。コメントをすべて消します。
- 予算の写しで、非表示のシート・行・列の一つずつを、上のとおりに決めます。行・列を削除するときも、それを参照しているセルを先に値にします。
- [ファイル]→[情報]→[プロパティ]→[詳細プロパティ]で、[ファイルの概要]を消すか直し、出すつもりのないカスタム プロパティを削除します。
- Windows なら、ドキュメント検査([ファイル]→[情報]→[問題のチェック]→[ドキュメントの検査])で、このうちいくつかをまとめて取り除けます。Microsoft は、取り除いたデータは元に戻せないことがあるので元の文書のコピーで使うよう、強く勧めています。提出先が配った様式では気をつけてください。同じページは、Word で取り除くプロパティに「データ バインド フィールドのデータ バインド リンク情報 (最後の値はテキストに変換されます)」を挙げているので、そのあと様式が動くかを確かめます。Mac での確かめ方は Document Inspector on a Mac(英語)にあります。
- 前の応募先・発注者・共同提案の相手の名前で検索し、ヘッダー・フッター・テキスト ボックスを読みます。
- ファイル名は、社内の下書きの名前ではなく、指定のとおりにします。
- PDF の指定なら、上のとおりプロパティと変更履歴を外して書き出し、PDF のプロパティを確かめます。
出す写しを自分で確かめる
- 写しを開き、[ファイル]→[情報]で[すべてのプロパティを表示]を選んで、作成者・最終更新者・会社名・テンプレートを見ます。続けて[詳細プロパティ]の[カスタム]タブを見ます。
- もっと詳しく見るなら、別の写しの拡張子を .zip にして展開します。
docProps/custom.xmlにカスタム プロパティが、docProps/app.xmlにCompanyとTemplateが、docProps/core.xmlに作成者と最後に保存した人があります。- ブックなら
xl/workbook.xmlにすべてのシートが並びます。state="hidden"かstate="veryHidden"の付いたシートは、まだ入っています。 - Word のファイルなら、ヘッダー・フッター・脚注も含めて
word/の中のすべての.xmlの部品で、<w:ins、<w:del、w:moveFrom、w:moveToと、PrChangeで終わる要素を探します。これらが変更履歴の主な印です(フィールド コードや削除された文字に当たらないよう、括弧と空白も付けて探します)。word/comments.xmlにw:commentの要素があれば、コメントが残っています。
- すべての部品を、前の応募先・発注者の名前と、社内のコード名で検索します。
ScrubDrop がすること
ScrubDrop は .docx・.xlsx・.pptx をブラウザーの中で読み、ファイルはアップロードしません。見つけたものを一覧にします。プロパティは件数と最初のいくつかの値で示し(カスタム プロパティ、会社名、テンプレート名も数に入ります)、コメントは書いた人と、変更履歴は変えた人と、非表示シートは名前で示し、そのほかの扱う種類も示します。無料版は 1 回に 1 ファイルで、カスタム プロパティを含むプロパティとコメントを取り除き、変更履歴は承諾して取り除きます。
ScrubDrop Pro は、非表示のシート・行・列、添付したテンプレートのパス、定義された名前、カスタム XML などの目立たない種類も取り除き、そのうちどれを取り除くかを選べます。非表示のシート・行・列、定義された名前、他のファイルへのリンクを取り除くと、それを参照していた数式だけでなく、残るシートのすべての数式が最後に計算した値に置き換わります。合計の見た目は同じですが、もう計算はしません。上のように Excel で手で直すなら、値に貼り付けたセルだけが計算をやめます。ですから、ブックで、提出先の様式の数式を動くまま残す必要があるなら、その直しは Excel で行い、ScrubDrop では「隠れたシート・行・列・スライド・図形・文字」「定義された名前」「他のファイルへのリンク」のチェックを外してください。カスタム XML を取り除くと、Word の様式のコンテンツ コントロールの結び付き(データ バインド)とタグが外れるので、提出先が配った様式ではチェックを外します。無料版でも行うプロパティの削除では、ヘッダーのタイトルのようにプロパティを表示するフィールドが、ただの文字になります。配られた様式は、掃除したあとでフィールドを確かめてください。ScrubDrop は掃除したファイルを、書き出しに使ったものとは別の読み取りのソフトウェアで読み直し、確認を通ったものだけを渡しますが、提出先の様式に何が要るかは分からないので、写しを公募要領や入札説明書と照らし合わせてください。PDF は読みません。
よくある質問
前に応募した先の名前は、提出先に見えますか?
ファイルに残っていれば見えます。いちばん残りやすいのは、削除された文字としての変更履歴とコメントです。Microsoft のページは、[マークアップなし]では変更が一時的に見えなくなるだけだと書いています。変更をすべて承諾するか元に戻し、コメントを消して、写しを前の名前で検索してください。
予算のブックの非表示シートは、審査する人に見えますか?
見えます。非表示のシートはファイルに入ったままで、ブックを受け取った人は表示に戻せます。内訳を見せないなら、写しで、表示されているセルのうち内訳を参照しているものを値に置き換えてからシートを削除し、合計を確かめてください。
PDF で出せば、それで全部片付きますか?
それだけでは片付きません。Microsoft のページによると、[文書プロパティ]を選べば文書のプロパティが、[変更とコメントの内容を含む文書]を選べば変更履歴が PDF に入ります。Office のファイルを掃除してから、どちらも外して書き出し、PDF のプロパティを確かめてください。
出典:このページからリンクした Microsoft のページは 2026 年 10 月 25 日に確認しました。ScrubDrop は Microsoft と提携していません。
出す前に、申請書や提案書を確かめてください。ブラウザーの中で動き、アップロードしません。無料版は 1 回に 1 ファイルで、ScrubDrop が扱う種類のうち見つけたものはすべて一覧にし、プロパティ・コメントを取り除き、変更履歴は承諾して取り除きます。ファイルを確認