変更履歴は「承諾」と「元に戻す(却下)」で本文が変わる — 送付前の正しい手順
最終更新日:2026 年 10 月 4 日
要点:変更履歴は、本文をどう読むかを決めずには消せません。「承諾」すると挿入はそのまま残り、削除は確定します。「元に戻す」(却下)すると挿入は消え、削除した文字が戻ります。どちらでも、変更の記録とその作成者・日時はファイルから消えます。表示を「マークアップなし」にしても消えません。Microsoft は、それは変更を一時的に非表示にするだけで、次に開くと再び表示されると書いています。
Word の画面で、却下にあたるボタンは「元に戻す」と表示されます。Microsoft の日本語のページ「Wordで追跡された変更を承諾または拒否する」も、手順の中で[承諾]と[元に戻す]と書いています(同じページの中に「拒否」という訳語も混じっています)。この記事では、ボタンの名前どおり「承諾」と「元に戻す」と書きます。
変更履歴がファイルに残すもの
.docx の形式を定めた国際規格 ECMA-376(Ecma International の公開ページ、英語)は、変更履歴(revisions)を §17.13.5 で定めています。1 つ 1 つの変更には種類と識別子があり、任意で「変更した人」と「変更の日時」を持ちます。削除した文字は消えません。§17.13.5.14 は、削除を、文字の今の状態を削除されたものとして記録するものと定めています。言葉は削除の印を付けられて、ファイルの中に残っています。書式の変更は変更前の書式を記録し(§17.13.5.31)、移動は移動元と移動先の 2 か所に記録されます(§17.13.5.21〜§17.13.5.26)。
つまり変更履歴のある文書は、変更ごとに、誰がいつ変えたか、削除ならもともと何と書いてあったかを持っています。社内でやり取りするときに役立つのはそのためで、相手方や顧客、一般に見せたくないのもそのためです。
承諾:今の文面で確定する
承諾すると、変更が確定します。挿入した文字はふつうの文字になり、削除した文字は消え、新しい書式が残ります。すべて承諾すると、変更履歴を表示した画面から取り消し線の文字を除いた文面になります。
送る前に「きれいにする」というとき、たいていはこれです。変更履歴が自分の側で合意した修正なら、正しい選び方です。
まだ合意していない提案が入っているときは、誤った選び方になります。相手方の修正履歴が残ったまま[すべての変更を承諾]すると、押し返すつもりだった条項まで受け入れることになります。
元に戻す(却下):変更前の文面に戻す
元に戻すと、挿入した文字は消え、削除した文字が戻り、書式も元に戻ります。すべて元に戻すと、変更履歴を記録する前の文面に戻ります。記録をオンにして自分が加えた修正も消えます。記録をオフにして加えた修正は、そもそも変更履歴になっていないので、そのまま残ります。
変更を別途相談したいので元の文面を送るとき、あるいは修正の入ったファイルを受け取って、自分が送った文面を返したいときに使います。
校閲者ごとに選ぶ
実際には、どちらか一方ではないことがよくあります。自分のチームの修正は承諾し、ほかの人の修正は元に戻す、といった場合です。Microsoft の日本語ページは iPad 版の説明の中で、特定の校閲者の変更だけを表示しているときに[表示されているすべてを承諾]を選ぶと、その校閲者の変更だけが承諾されると書いています。校閲者を 1 人ずつ絞り込んで処理し、結果を読み直してください。
見落としやすい点
- コメントは別です。変更を承諾しても元に戻しても、コメントは残ります。コメントは別に削除します。
- 段落記号も変更履歴になります。ECMA-376 §17.13.5.15 は、削除された段落記号を定めています。それを承諾すると、その段落は次の段落とつながります。承諾した後は、段落の切れ目や番号付けを確かめてください。
- 「マークアップなし」は表示であって、編集ではありません。見え方が変わるだけで、ファイルの中身は変わりません。
- 変更履歴だけが痕跡ではありません。作成者などのプロパティはファイルの別の部分にあり、Word は編集セッションの識別子(rsid)も記録します。変更履歴を処理しても、どちらもそのまま残ります。rsid については英語の記事で説明しています。
送る前の手順
- コピーで作業します。[校閲]タブで、挿入や削除の印がすべて見える表示にします。「マークアップなし」のままにしないでください。
- 変更を 1 つずつ確かめ、[承諾]か[元に戻す]を選びます。合意した校閲者の変更だけをまとめて承諾するときは、表示をその校閲者に絞ってから承諾します。
- コメントをすべて削除します。
- すべての変更が見える表示のまま、挿入の印、取り消し線、コメントが残っていないかを確かめます。
- Windows では、[ファイル]タブの[情報]から[問題のチェック]、[ドキュメント検査]を選び、変更履歴やコメントが見つからないことを確かめます。Microsoft の「ドキュメントの検査」のページによると、Word for Mac にはドキュメント インスペクターがないので、Mac では手順 4 までが確認のすべてです。
- 最後に本文を頭から終わりまで読み、つながった段落や番号付けを確かめます。
ScrubDrop でできること
ScrubDrop は .docx をブラウザーの中で読み(アップロードはしません)、変更履歴をその作成者とともに、コメントやプロパティなどの隠れたデータと並べて一覧にします。
- 無料版:変更履歴を承諾して取り除き、コメントとプロパティも取り除きます。1 回に 1 ファイルです。
- ScrubDrop Pro:変更履歴を元に戻して取り除くことや、作成者ごとに承諾か元に戻すかを選ぶことができます。複数のファイルをまとめて処理し、監査レポートも作れます。
組み立て直したファイルは、docx-redline-js を含む別のパーサーで読み直し、変更履歴の印が残っていないかを確かめます。確認に通らないファイルはダウンロードできません。スタイルを通じて隠された文字や、段落をまたぐフィールドのように、承諾や元に戻すことで見えにくい形で本文が変わりうる文書は、推測で処理せずにお断りします。
どの変更に合意したかは、ScrubDrop には分かりません。選んだとおりに処理するだけなので、変更を読んでから選んでください。再確認は強い手がかりですが、約束ではありません。送る前に、できたファイルを開いて読んでください。
よくある質問
「マークアップなし」にすれば変更履歴は消えますか?
消えません。Microsoft の日本語ページは、変更履歴を削除するには変更を承諾するか拒否する必要があり、[マークアップなし]ビューは変更を一時的に非表示にするだけで、次に文書を開くと再び表示されると書いています。
承諾と元に戻すで、本文はどう変わりますか?
承諾すると挿入はそのまま残り、削除は確定します。元に戻すと挿入は消え、削除した文字が戻ります。どちらでも、変更の記録とその作成者・日時はファイルから消えます。
変更を承諾すればコメントも消えますか?
消えません。変更を承諾しても元に戻しても、コメントは残ります。コメントは別に削除してください。
送る前に、.docx の変更履歴とコメントをすべて一覧で確かめてください。無料版は 1 回に 1 ファイルで、隠れたデータはすべての種類を一覧にし、プロパティ・コメント・変更履歴(承諾)を取り除きます。変更履歴を元に戻すことや作成者ごとの選択は ScrubDrop Pro の機能です。ファイルを確認。